春との旅 邦画ロードムービーの傑作

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ロードムービーというと
洋画で、数々の傑作が思い浮かぶ・・
フェデリコ・フェリーニの 『道』や
ヴィム・ヴェンダースの 『パリ・テキサス』
デイヴィッド・リンチの 『ストレート・ストーリー』など
日本映画でも 山田洋二の 『幸福の黄色いハンカチ』も名作だ。

小林政広監督の 『春との旅』は
予告編をネットで見て
良い映画らしいと感じ
母を誘って、6/6に立川で観た。
予告編の印象から、ロードムービーというより
家族の絆、老いの問題、現代の人間関係の希薄さなどがテーマだと思っていたが
観終わって、これは、ロードムービーの傑作が
新しく邦画に誕生したのだと嬉しかった。
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私は、正直言って、仲代達矢さんの顔は やや苦手だったのだが・・(すみません)
役者としては、とても素晴らしいと思っている。
七人の侍で通行人として出演していたことを知って 嬉しかった記憶もある。
天国と地獄の刑事は、彼でなくては 緊迫感の弦が鈍っただろうとも思う。
無名塾を30年以上続けて、貢献していることは素晴らしいことだ。

私は、この映画を観て
仲代達矢さんの顔が好きになった。
ラストの 万感の思いで蕎麦を食べる表情は
演技を超えて 私の心に染み渡った。
久々のワンカップを飲むシーンは、とても共感できた(苦笑)

物語などは、多くの記事で他に書かれているから
私は書かないが
数珠のいくつかの繋がりの様に
兄弟と関わる人々を訪ねて
それぞれが抱える世界が
きちんと描かれていることで気持ちが入っていけた。


春を演じたのが徳永えりさんだったことも嬉しかった。
『フラガール』で、とても印象に残っていたのが、木村早苗役の彼女だったからだ。

忠男の長男夫婦の 大滝秀治 、菅井きん
弟の妻 田中裕子
その近所の知人 小林薫
姉の 淡島千景
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末弟夫婦の 柄本明、美保純
自殺した娘のもと亭主 香川照之
その連れ合い 戸田菜穂

すべて味わい深い素晴らしい演技だった。

印象に残った台詞:

もう俺たちで物事を決められないんだよ
決められたことに従うしかないんだ

血はつながっていなくても 気が合えば
いっしょに暮らしても良いんじゃあないですか? 

あんなに本気で喧嘩できるなんてね
羨ましかった

スイートを予約してこいなんてね
ちょっと惚れ直しちゃった

黒澤明さんも伊丹さんも宮崎駿さんも
映画は 脚本が書けるかが最も大事と言う。
私も同感だが
この『春との旅』は、監督小林政広さん自らが
原作を書き、メガホンを取った。
ハリウッドが旧作でヒットしたものを安直にリメイクする時代
仲代達矢さんが脚本に惚れ込み
出演160本のうち5本の指に入る映画と言うのも
こうした経緯があるかもしれない。
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テレビ業界がひっと狙いの 内容の無い映画を量産し
それに乗る俳優が多い中で
監督と仲代達矢さんに絶賛された徳永えりさんへ彼らから送られたエール
「あくまで初志を貫いて。その辺の薄っぺらい女優にならないで。志を高く持って」
そう!同じようなセットで量産する韓国ドラマのようなことをせず
本当に深みの在る作品に挑戦して欲しい。
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by arthiropon | 2010-06-20 11:33 | 洋画 映画館  

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