魔女が飛べなく、絵が描けなくなる時。魔女の宅急便
2013年 02月 21日
1989年(平成元年)7月29日から東映系で公開されたアニメ映画
魔女の宅急便。
翌年頃出たレーザーディスクで見たが
それから20年以上経って出たブルーレイを借りて
あらためて鑑賞した。
最初観たときと同じく、この映画で最も印象に残ったのは
飛べなくなった魔女のキキが
画家のウルスラという女性のアトリエに泊まるシーン。
角野 栄子の原作には無い場面だが
鮮烈にセリフが残っている。
魔女も飛べなくなることがあるんだね
絵も描けなくなる時がある・・
描けないときは・・
描いて描いて描きまくる
それでも駄目なときは
描くのをやめて
なにか別のことをする
すると不思議とまた描けるようになるんだよ
キキは
夢と情熱にあふれて魔女になるが
仕事をもらうのに苦労する
ようやく軌道に乗って やり方が定まって
プロっぽくなると
黒猫ジジの声も聴こえなくなり
飛べなくなってしまう。
これは プロであること と 注文をもらうということを
完全同一視してしまう勘違いから迷い込んでしまう
本当に純粋に絵を描こうとする画家にとって
大きなジレンマの問題だ。
本当のプロ
プロとは何かと問われたら
注文や金の有無を問わず
その精神性
気迫 生き様 四六時中
魂を注いだ作品作りということなのだ。
ウルスラが描きかけで止まっていた大作・・
20年前は、宮崎さんは凄いな、こんな絵を作中で登場させるなんて
気・・スピリット・・に満ちている
宮崎さんが描いたのかな?
だとしたら彼は本当は 画家志望だったのかな?
などと思ったものだ。
キキが陥った 飛べなくなった現象は
毎日の 決まったこと
目の前にあるものを片づける
繰り返しの日常
鳴れ
いつのまにか最初の情熱や希望という
気 が無くなっていた。
今回再発見・・いや改めて知ったのは、
この大作が 青森の坂本小九郎先生の指導のもとに
八戸市立湊中学校養護学級の生徒さん13名が制作した
木彫りの 実在する作品だったということ。
これを見た宮崎さんが感銘を受けて、このシーンの絵にしたとのこと。
それを知って より ここで言いたいことにピンとくる。
いわゆるアマチュアが仕上げたこの 気に満ちている作品は
プロフェッショナルだと。
ジジにウルスラが質問する
魔女ってどうやって飛ぶの?
血で飛ぶの と答える・・
湧きあがるようなパッション
体内を駆け巡るような熱い血
そうしたもので私も飛びたい・・いや絵を
描き続けたいのだ。
by arthiropon | 2013-02-21 09:42 | アニメーション