映画03  手紙のアンカーマン杉浦直樹さんに感動

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東野圭吾さんの原作 手紙を映画化し、話題となった作品。
遠野さんは『罪を犯すとはどういうことか、刑罰とは何なのか、真の更生とは
-そんなことを考えながら』書いたと言われる。

兄剛志が犯した罪・・弟の大学の学費欲しさに 一人住まいの老婆の留守宅に入り
金を盗み、帰宅した老婆ともみあいの末、誤って殺人を犯してしまう。
兄(玉山鉄二)は刑務所で刑期を送り、懺悔の手紙を被害者の息子へ送り
ただひとつの繋がりとしての手紙を、弟に送り続ける。

しかし、その手紙と繋がりは 弟 武島直貴(山田孝之)が
殺人犯の肉親であることを証明し
進学、就職、漫才の夢、裕福な結婚などのすべてを奪っていくことになる。

この映画のメッセージは、
由美子(沢尻エリカ)が破かれた手紙を拾い、直樹に言ったことば
『こんなことしたらあかん!手紙には大きな力があるんやで
ナオがどんなに逃げようとあがいたって無駄やねんで』と
直樹が刑務所のステージで告白することば
『代えはきかない・・血が繋がっている俺の兄貴に間違いない』
に凝縮されている気がする。

でも最も感動したシーンは
大手家電メーカー会長(杉浦直樹)が、左遷された直樹を訪ね
・・・・由美子が送った手紙に心を打たれて来るのであるが・・・
ナオに吐露することばだ。
『差別は当然・・お兄さんはそれも含めて罪を犯したんだ』
『差別の無い場所を探すんじゃない、君はここで生きて行くんだ』
映画の主役ではないが、船が動かないように降ろす鎖(アンカー)のように
映画に重みと深みを与える名優のことを一般にアンカーマンと呼ぶが
杉浦直樹さんは、まさにその一人だと思う。
帰る後姿に、人生を生き抜いてきた年輪が漂い、映画を引き立たせる。
ドラマ『岸辺のアルバム』の印象が強かったが、
日本映画を支える重鎮になられたのだと実感し、とても感動した。

母を殺されてナオと話す息子を演じる 吹越満さんの演技も目を見張る。
苦渋と怒りを秘めた表情や言葉が、響き渡る感がある。

由美子を演じた沢尻エリカさんも熱演で、変貌の経過も美しい。
もちろん兄弟を演じた二人とも 素晴らしい。

小田和正さんの歌がラストでかかるが、とても合っていると思った。
会えて良かったあなた・・が恋人でなく 広い意味で聞けるから 女々しく感じないからだ。

ただひとつ、私には十分感情移入できない展開がある。
私も2人兄弟で私が弟だ。
弟を劇中のように本当に愛し、始終手紙を出すような弟思いの兄なら
学費欲しさに、盗みを働くだろうか?
運送業は、男のソープと冗談を言われるほど昔は金が貯まったが
今の不景気の値下げと、腰痛の持病で稼げないということなのか?
弟を本当に愛していたら、そんなことをするだろうか・・
兄弟の苦労やひもじさがピンと来ないからかもしれないが。

『手紙』
監督 生野慈朗
脚本 安倍照雄、清水友佳子
出演者 山田孝之
玉山鉄二
沢尻エリカ
吹石一恵
尾上寛之
吹越満
杉浦直樹
音楽 佐藤直紀
撮影 藤石修
編集 川島章正
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
公開 2006年11月3日
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by arthiropon | 2007-05-27 11:10 | ホームシアター  

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