カテゴリ:わたしの本棚 ブックレビュー( 3 )

 

もし僕らのことばがウイスキーであったなら


村上春樹さんの取材紀行
もし僕らのことばがウイスキーであったなら

読んですぐ いっやー アイラ島に行きたくなったなあ。

カルチャーショックだったのは
ウィスキーって スコッチが最初ではなく
アイルランドで生まれたシングルモルトなのだということ。
最初にウィスキーをつくったのはアイルランド人だったんですねえ。
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スコッチは、ブレンドしたものを指すのも知りませんでした。

アイルランドの北に位置するシングル・モルトの生産地 アイラ島
ここでしか、その本来のテイストは味わえないのです。

アイラの人たちは スコッチを好みません。
なぜって、こう語っています。
「うまいアイラのシングル・モルトがそこにあるのに、
どうしてわざわざ ブレンディッド・ウィスキーなんてものを
飲まなくちゃいけない?
それは、天使が空から降りてきて美しい音楽を奏でようとしているときに、
テレビの再放送をつけるようなものじゃないか」

こんなこと聞いたら、ぜひと思いますよね。

同じ時間に 決まった量を 寡黙に ゆっくりと飲んで帰る老人の話

絵で描いてみたくなる光景を連想させます。
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by arthiropon | 2010-05-05 12:44 | わたしの本棚 ブックレビュー  

サラリーマンの詩人 宮沢賢治

宮沢賢治を知らない人は
日本人の中高年の中では 数少ないだろう。

銀河鉄道の夜 や セロ弾きのゴーシュなどは
あまりに有名で

彼が 砕石物に詳しく 石っこ賢さんと呼ばれていた
・・一説によると、秩父長瀞の岩畳を見たことが
彼にとって衝撃的な出会いだったらしい・・・ほどだったことから
生活と農村のために
サラリーマン(サラリーをもらっていたセールスマン)をしていたことは
意外に思えるかもしれない。

・・・一筋と言う言葉があって
プロは 副業を持たないという人もいる

それも一理あるだろう。

しかし
賢治のイメージした詩は 評価されず
生活は成り立たなかった。
さらに言えば、そのサラリーマンとしての収入ではうまくいかない場合
賢治が軽蔑していた高利貸しで財を成していた父親から
援助を求めて成り立っていた時期もあった。

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詩で生計を成していないものが 詩人でないのなら
宮沢賢治は 詩人ではなかった。
意地悪な人が当時いたら
あんたが詩人で才能があれば、周りはほっておかないだろう
と言ったはずだ。

しかし、私から言えば
彼は 詩人の中の詩人であり
プロの中のプロなのだ。

彼は自分の内奥を模索し
独自の視点で 美を探究して
そのために
詩を書き続けた。

そのために・・これが重要なことで
ニーズを模索したり、締め切りに間に合わせるためではなかったのだ。

才能の在る人は 評価されるはずだと考える人は
少なくないし、そうあってほしいが

問題は そんなことではなく
その人が 何をひたすら見つめているかだと思うのだ。

彼の場合は、弟さんと友人たちの
あきらめない尽力で
書いたものが紹介されたことで
周囲に認められる詩人が誕生した。

大事なのは
賢治が書き続けたということだ。


佐藤竜一氏の書いた この本
宮沢賢治 あるサラリーマンの生と死 は
渡しにこんなことを再認識させてくれたのだった。
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by arthiropon | 2010-04-18 11:05 | わたしの本棚 ブックレビュー  

生まれ出ずる悩みの40年

私が中学の頃の教科書に
一部が掲載されていた
有島武郎の小説。
最初に読んでから、もう40年が経過している。
このとき、直感で
この小説の『君』は 私 でもあるのだと感じた。
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今年になってから特に
残像というのか 何度も情景が浮かび
また 生まれ出ずる悩み が読みたくなった。

高専時代に家出して
持病に悩み 絵を描いていた頃

そして今また 苦境のもとで
重荷をしょいながら
描いている自分

それが今回 再び読むことになった理由だろう。

君よ!

君よ

呼ばれ続けている
悩み苦しむ自分は

歳を重ねてもなお 自分の中にいるのだ。
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by arthiropon | 2010-03-30 12:25 | わたしの本棚 ブックレビュー